「カメラの算数」

 カメラは算数です。でもそんな難しいことはないですよ。

写真を撮る
 カメラを固定し、絞り・シャッタースピード・ピント位置を決め、フィルムをセットし、シャッターをチャージし、シャッターを切る。これはどんなカメラでも同じこと。35mmもブローニーも4x5も8x10も、やることは同じ。あわてなければ誰にでもできます。


---扱う---
 旧いマニュアルフォーカス、マニュアル露出の一眼レフカメラを使いましょう。算数であることがリアルに感じられるハズです。

-ボディ-
 カメラにはだいたい、ファインダーとレンズマウントとレンズ脱着ボタンとシャッターボタンと巻き上げレバーと巻き戻しクランクと巻き戻しボタンとウラブタと電池ブタとシャッターダイヤルとISO感度ダイヤルと露出計のスイッチとストラップ金具がついています。絞り込みレバーがついてるものもあります。シャッター・チャージレバーが独立したものもあります。

 シャッターダイヤルには
「B 1 2 4 8 15 30 60 125 250 500 1000」
とあり、ISO感度ダイヤルには
「ISO(ASA):12..25..50..100..200..400..800..1600」
と対の
「DIN:12..15..18..21..24..27..30..33..36」
という数字があります。

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 シャッタースピードは「xx分の一秒」を表します。計算してみてください。まさに瞬時です。

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-レンズ-
 こちらにはピントリング、絞りリングが付いてます。とりあえず単焦点レンズを使いましょう。安い50mm標準レンズがいいでしょう。多くはセット売りになってます。
 レンズが50mm/F1.4なら絞りの数字は「1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16」とあるハズです。ピントリングは無限大∞から0.45mまでが多いです。


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 ピントリングはメーカーによって回す方向が異なります。ニコンファンがニコン以外使おうとしない理由はこれかもしれません。
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-フィルム-
 いまではISO400が主流ですが、ここではISO100を使いましょう。なぜなら旧いカメラのシャッタースピードはせいぜい1000分の一秒程度だからです。快晴ではISO100で普通250分の一秒/F11位ですが、ISO400だと1000分の一秒/F11になってしまいます。これじゃ身動きが取れません。ISO100/250分の一秒/F11は1000分の一秒/F5.6と同じですが、ボケ具合が異なります。やはりISO100しかありません。

...あるいはISO400ネガカラーをISO100で使うことです。
昨今、ネガフィルムの性能は飛躍的に向上してます。いわゆる「レンズ付きフィルム」のおかげです。具体的には「6段オーバー」まで許容し、画質が最良になるのは「2〜3段オーバー」なのだそうです。
更に、ISO100のリバーサルと共用するにもミスが防げます。

---撮る---

 撮るには、「ピント・露出・構図」を決める必要があります。ここでは構図は無視しましょう。ピントを合わせるところ、合わせないところを決めましょう。それには実は露出が大きく関わります。

-ピント-
 ピントを合わせるということは、「被写界深度」の影響する範囲と位置を決めるということです。自分が写真で見せたいところ、そうでないところを分ける行為でもあります。

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 あまり深く考える必要もないのですが。

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・被写界深度
 「被写界深度」とはピントが合ってるように見える範囲のことです。これは絞り値とレンズの焦点距
離で概ね決定されます。絞りを開ければ深度は浅く、絞れば深く。レンズが長ければ浅く、短ければ深く。ピントの位置が近ければ浅く、遠ければ深く。
 ほとんどの単焦点レンズには被写界深度メモリが刻まれています。これを目安にあわせていきましょう。あるいは「絞り込みレバー/ボタン」を使うことで、実際にピントの合う範囲を確認することが出来ます(ただしファインダー内は暗くなります)。

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 なぜかこの被写界深度はピント位置を中心に前後1:2の比率になります。3mに合わせると前端が2mで後端が5mにあたるなど、面白いくらいです。

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-露出-
 下の表は、フィルムの箱によく記載されてるものです。

ISO100/250分の一秒
日中屋外
快晴の
海・山、
雪景色
快晴
明るい曇
曇・日陰
(EV値)
(16)
(15)
(14)
(13)
(12)
絞り
F16
F11
F8
F5.6
F4
注)普通、EV値は書かれてません。

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 この表はけっこう使えます。これがあればハッセルブラッドだろうが4x5だろうが怖くない! 

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 露出を決めるというのは、フィルムに像を写し込むために必要な量の光を与えるということです。
 基本はピントと同じ、自分が写真で見せたいところ、そうでないところを分ける行為です。露出の加減によって色や写真全体の印象がまるで別モノになります。

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 ここではとりあえず露出計のいうところを適正としましょう。それでも白が白にならなかったり、黒が黒にならなかったり。その時は補正します。それぞれ「+1.5」、「-1.5」です。逆じゃないですよ、注意してください。

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・ISO感度
 これが光の容量みたいなものです。ただし100より400のほうが少ない光でOKです。数字と反比例し1/4になります。100より400のほうが4倍効率が良いってことです。

 特にリバーサルの場合ISO感度設定を忘れてはいけません。100か400で大きく異なります。

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 マニュアル機の場合、ISO感度自動設定のモノはほとんどありません。必ず100や400の数字を確認しましょう。もしくは「100しか使わない」と決めるのも手です。それなら間違えようがありません。
 
また「フィルム」のところでも説明しましたが、ネガ400をISO100で使うのも有効です。
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・絞り
 光を体積で捉えるとすれば、「底面積」にあたります。値が1.4(=1.4142;√2)の倍数であるのは、これが直径比を表すものであるためです。面積の場合この2乗に比例する、つまり絞り値1段が2倍になるという理屈です。
「1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16」をそれぞれ2乗した値は「2 4 8 16 32 64 128 256」の近似値です。この差異はリバーサルでさえラチチュード範囲内です。

絞り値は上記「ピント 被写界深度」のところで解説したように「絞りを開ければ深度は浅く、絞れば深く...」なります。しかし絞りすぎると「回折現象」がおこります。光は狭い穴を通る際、乱れる(ピンホール写真的な柔らかさ...)のです。あくまで絶対値であるので35ミリカメラではF16あたりから怪しくなりますが、中判・大判カメラでF16はまだまだOK、それどころか絞り足りないくらいでしょう。もちろんなにもかもF16以上絞らないってのもなんか違うハナシになります。

 画質をコントロール出来る場合があります。「開放付近は柔らかく、絞ると鮮明になっていく、F11付近で画質のピークを迎え、F16あたりから再び落ち始める...」なんて評価されるのは実にわかりやすいレンズですね。

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 とはいえどの数字で撮ればいいのか。「目安」、というより自分なりの「基準」が必要ですね、「F5.6」でいきましょう!なんでもかんでもF5.6で撮ってしまう。標準レンズなら適度な深度とボケがあります。これよりボカしたければ開ける、F2.8。そうでなければ絞る、F11。カラダで覚えましょう。
 これはズームレンズを把握するにも便利です。初級クラスを卒業しても、迷ったら「F5.6」、これでキマリです。ついでにF8〜11あたりでは画質がいちばん良いことがおおく、質感を出したければこの数字で...。

 参考:「写真の撮り方」
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・シャッタースピード
 同じく「高さ」にあたります。「(B) 1 2 4 8 15 30 60 125 250 500 1000」の数字の並びは倍数系列と呼ばれます。「1 2 4 8 16 32 64 128 256 512 1024」となるはずですが、これも近似値です。うまくまとめたもですね。この差異は絞り値と同じくリバーサルのラチチュード範囲内です。
 絞りの「回折現象」に似たところで、シャッタースピードでは「相反則不規」ってのがあります。これはフィルムの性能によるものですが、長時間露光で現れます。露出計の言うとおりにしてると露出不足になるのです。リバーサルフィルムで1秒以上あたりから、出てきますが、近年のフィルム性能の向上により、30秒くらいまで影響がないものも増えてます。フィルムの箱の裏側に書かれてますので、読んでみてください。

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 とはいえどの数字で撮ればいいのか。標準レンズ50mmなら、レンズ焦点距離分の一秒=1/50秒以上が手ブレの境目だといわれます(が、超広角ではあてはまりません)。
 いろいろ試してください。例えば水の流れを撮る場合、水滴を止めるには1/500、ふわっと流すには1/2以上でしょうか。これも試してみてください。

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・EV値(エクスポージャーバリュー)、LV値(ライトバリュー)
 これは要するに光の量を数字に置き換えたものです。「量」あるいは「体積」であるのなら、数値の差が「1」でなく「倍」になるはずですが、実際の写真をイメージすると、このほうがリアルです。明るさが倍ちがっても、写真上では、そんな極端に違って見える訳ではありませんし。
 LV値はISO感度に左右されませんが、EV値は変わります。LVはEV100と同じ値になります。

EV:ISO100
1
2
4
8
15
30
60
125
250
500
1000
2000
4000
1.4
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
2
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
2.8
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
4
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
5.6
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
8
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
11
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
16
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
22
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
32
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22

 たとえばEV13(表中青字)、「明るい曇」の場合、フィルムの箱には「1/250、F5.6」とありますが、「1/1000,F2.8」「1/15,F22」でも構わないのです。実際多用する組み合わせは白地部分あたりで、グレー地の値はあまり使うことはないでしょう。必要以上にビビらないでくださいね。

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 たとえば適正露出がEV11の写真とEV12の写真イメージに大差はありませんが、適正EV12をマイナス1段のEV13で撮ると大きく差が出ます、特にリバーサルでは。ここで1EVは「倍」あるものだと思い知らされます。

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以上
やはり算数でした。何を説明するにも、数字だらけですね。」

「カメラの算数」(2006.05.30 改訂)